映画音楽「リア王」作品137

「ハムレット」と「リア王」は劇付随音楽と映画音楽がそれぞれ作曲されており、こちらで情報を整理しています。

シナイスキー指揮/BBCフィルハーモニック

2002.05.16-17 Chandos

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録音の少ない映画版「リア王」の中では、録音も良好でBBCフィルの濃密なサウンドを聴くことができる貴重な一枚。8曲を抜粋。「悲劇の始まり」や「嵐」はスネアが印象的な曲だが、充実したオーケストラには感動。テンポ感が絶妙で、鐘や木琴が楔のようにここぞというところで安定して鳴るのは素晴らしい。晩年のショスタコーヴィチの分厚すぎないオーケストレーションが実に格好良い。

セレブリエール指揮/ベルギー放送交響楽団

1987.06 Warner

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10曲を抜粋。セレブリエールらしい引き締まった演奏。録音が薄いので、セレブリエールの映画音楽集にはどこか乾いた響きがある。速めのテンポで目まぐるしく場面転換する様子も面白い。シェイクスピアの音楽というよりは、当時ソ連モノの映画音楽として楽しむことができる。

M.ユロフスキー指揮/ベルリン放送交響楽団

1990.12.10-13 Cpriccio

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劇付随音楽「リア王」と併録されており、鮫島奈津子氏による日本語解説の資料的価値も高い一枚。組曲版が存在しないので、こうした網羅的な録音があるのはありがたい。ショスタコーヴィチ最後の映画音楽であり、盟友コージンツェフとの作品。一連のプロパガンダ映画とは異なり、コージンツェフの同作は非常に評価が高いようだ。映画も観ておくべきだろう。