映画音楽「ゾーヤ」作品64/64a

M.ショスタコーヴィチ指揮/ボリショイ劇場管弦楽団

1966 BMG/Melodiya

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アトヴミャーンによる組曲(序曲・情景・前奏曲・行進曲・終曲)全曲。いかにもソビエトといった曲想とサウンドに思わず笑みが出る。我々の期待に完璧なまでに応えてくれる一枚。強烈な金管と打楽器は「ソ連の音楽」という言葉から連想されるイメージそのもので、壮大な終曲などはこの映画の内容を知らなくても感動してしまう。突き抜けてくるスネアの強打に、やはりショスタコーヴィチのスネアはこうありたいと納得させられる。マクシムの名演中の名演。なお、映画はソ連邦英雄を授与されたパルチザンの少女ゾーヤ・コスモデミヤンスカヤの活躍を描いたものとのことで、プロパガンダ的なものであったと思われる。

M.ユロフスキー指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団

1991.03.04-06 Capriccio

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ユロフスキーの名盤「ベルリン陥落」との併録。オーケストラも録音もよくまとまった演奏だが、どこかBGM的な(事実、BGMではあるのだが)そつのない内容。マクシム盤の強烈な演奏の前には霞むものの、バランスの良いオーケストラ、ギラギラしたトライアングルや良い具合に枯れた木琴の音色が素晴らしい。

アシュケナージ指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

2013.03.22-23 Ondine

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併録の「ステパン・ラージンの処刑」と同じ感想なのだが、2013年の録音で非常に音質が良いことと、ヘルシンキ・フィルの渋いサウンドが素晴らしい一枚。マクシムの演奏に聴き慣れた耳には新しい発見が多くあるが、どうも上手くまとまりすぎているような落ち着き方に違和感を覚えてしまう。