映画音楽「新バビロン」作品18
ロジェストヴェンスキー指揮/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
1975.10 Victor/Melodiya
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ショスタコーヴィチの初めての映画音楽であり、22歳の頃の作品である。監督は共同でコージンツェフの名があり、ショスタコーヴィチ最後の映画音楽となる「リア王」までその友好関係が続いている。新進気鋭の若き作曲家ショスタコーヴィチが当てた劇伴は、後の作風を象徴するようなオーケストレーションが随所に生きており、実に面白い。ところで、「新バビロン」とは映画の舞台となったデパートの名前。パリ・コミューンを描いた映画とのことで、劇伴もモダンな作風に仕上がっている。ロジェストヴェンスキーが7曲からの組曲版を編纂しており、当盤もその録音。ハードマレットで輪郭の明瞭なサスペンデッドシンバルの響きをはじめ、打楽器が好演している。スネアもトライアングルも存在感にあふれる。馬鹿馬鹿しいほどの調子っ外れな曲想も現れる他、オッフェンバックやラ・マルセイエーズが引用されており楽しい。ショスタコーヴィチ初期の意欲作。
フィッツ=ジェラルド指揮/バーゼル・シンフォニエッタ
2011.05.01-03 Naxos
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オリジナル譜からの復元による全曲版。帯によると、当時の編成に忠実に弦楽器は5人とのこと。小編成アンサンブルの曲として聴くと、ロジェストヴェンスキー版組曲とは違った面白みが味わえる(まあ、90分もあるのだが)。コンサートホールで聴くというよりは、やはり劇伴なのだろう。演奏者の技術も録音も良い。最後に「リール8続き オリジナル・エンディング」という4分ほどのトラックがある。何やら重苦しい曲だが、ラストは取って付けたような壮大な終わり方。映画のエンドロールといったところか。
ジャッド指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団
1989.10.10-12 Capriccio
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全曲版。取り立てて特徴的なところもなく、そつなく上手くまとまっている。全曲版としての資料的な価値から手元に置いておきたい。それにしても20年代のソ連の映画で、サイレント。映画そのものにも相当な価値があるのではないかと思う。劇伴がショスタコーヴィチで、サイレントだが音楽のクオリティーが高いのが面白い。とは言え、劇場のオーケストラにとっては従来の作曲報酬が得られない上に難易度が高く不評だったようで、すぐにお蔵入りしたようだ。なお、オケ名は、当盤では英語表記でBerlin Radio Symphony Orchestraとあるのみだが、「MOVIE MADNESS」では独名のRadio-Symphonie-Orchester Berlinとあるので、ベルリン放送交響楽団ではなく、ベルリン・ドイツ交響楽団のことだと思われる。