劇付随音楽「ハムレット」作品32/32a
「ハムレット」と「リア王」は劇付随音楽と映画音楽がそれぞれ作曲されており、こちらで情報を整理しています。
ロジェストヴェンスキー指揮/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
1962 BMG/Melodiya
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ロジェストヴェンスキーの60年代の録音から。他に追随を許さない名演にして決定盤。推薦盤を挙げると「いつもロジェヴェンじゃないか」とお叱りを受けそうだが、ロジェヴェンの録音は本当に心惹かれるものである。サクサクと心地良いテンポ感で、スネアの伴奏が素晴らしい。録音が古いが、ソ連の60年代の録音にしては十分に聴きやすい。アキーモフが演出した劇「ハムレット」は、登場人物が皆さん酔いどれで、飲みすぎて溺死するオフィーリアなどが知られているが、前衛芸術的な風刺に満ちていて面白い。こうしたアキーモフの意図と若きショスタコーヴィチ、そしてロジェヴェンの三者が素晴らしく融合して機能した名盤。ショスタコーヴィチ自らの編曲による13曲の組曲を全曲収録。構成は、第1曲「ハムレットと夜警」、第2曲「葬送行進曲」、第3曲「ファンファーレと舞踏曲」、第4曲「狩」、第5曲「役者たちのパントマイム」、第6曲「行進」、第7曲「音楽のパントマイム」、第8曲「宴会」、第9曲「オフィーリアの歌」、第10曲「子守歌」、第11曲「レクイエム」、第12曲「馬上槍大会」、第13曲「フォーティンブラスの行進曲」。
N.ヤルヴィ指揮/エーテボリ交響楽団
1989.12 Deutsche Grammophon
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劇付随音楽「ハムレット」は結構メジャーな曲だと思い込んでいたが、こうしてレビューを作成してみると意外にも録音が少ないことに驚いた(ヤルヴィの12番をCDに掛けていると自然と劇版ハムレットになるから、もう何度聴いたかわからないほど繰り返し聴いている。「黄金時代」までセットで)。この組曲をまともに全曲聴けるのはロジェヴェンとヤルヴィぐらいだったりして、おお、これは我がWEBサイトが紹介しなければと謎の使命感にも駆られた。ロジェヴェン盤も素晴らしいが、ヤルヴィ盤もまた都会的な響きで奥行きのある録音と併せて素晴らしい。誰もが想像するとおり、スネアがものすごく格好良い。そして、「狩」がまた速いんだ、これが。「ヤルヴィのショスタコーヴィチ」を存分に味わえる一枚である。
ネルソンス指揮/ボストン交響楽団
2016.02 Deutsche Grammophon
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ロジェヴェンとヤルヴィが独占していた劇版ハムレットだが、ここに超優秀録音とオーケストラの機能性で圧倒的な存在感を示すネルソンスがやって来ました!60年代(ロジェヴェン)と80年代(ヤルヴィ)の録音への対抗馬として、これは圧倒的なアドヴァンテージを持っている。残念ながら組曲全曲ではなく、7曲の抜粋(1,2,3,4,9,10,11)。それでも、さすがの演奏ですよ!キラッキラの輝くオーケストラとコントロールされた演奏。他に何を望むのか、というほど素晴らしいオーケストラで、もう管弦楽曲全集を出してほしいです。録音も良いので大太鼓がドスドスとよく響く。録音も良いし芯まで聴こえるし、遅れもない。正確。この曲って大太鼓だよな、と改めて思わせてくれる。全体的に引き締まったテンポながら、いつもどおりサウンドには余裕がある。劇ハムを未聴の方にはぜひ当盤をオススメしたい。ロジェヴェンらしい演奏を聴きたければロジェヴェンを、ヤルヴィらしい演奏を聴きたければヤルヴィを聴くのである。